イギリスの田舎に暮らして、もうすぐ30年。
この国には、古いものを修理し、手をかけながら大切に受け継いでいくインテリア文化があります。ペンキを塗り替え、壁紙を貼り、タイルを張ることが日常の延長にある――DIYは特別なことではなく、暮らしそのものです。
William Morrisの伝統柄のインテリア生地、ロンドンのLibertyのプリント、そしてスコットランドのHarris Tweed。英国の豊かなテキスタイル文化に魅せられ、少しずつ集めてきた布のコレクションは、やがて私の仕事へとつながっていきました。
子育てをしながら雑貨アーティストとしてバッグや服を制作・販売し、英国インテリアブランドの撮影用スタイリングや、プロのインテリアデザイナーのプロジェクトにも参加。クライアントの想いを形にする日々は、慌ただしくも創造に満ちた時間でした。



古い家と、私の原点
感性は、育った環境と深く結びついています。
大阪の旧家に生まれ育った私は、迷路のように暗いその家がリノベーションによって明るく合理的な空間へ変わったとき、便利さの裏で失われた「家の魂」のようなものを感じました。
京都の大学でテキスタイルを専攻しながらも心を奪われたのは住居学。京都でデザイナーとして就職した昭和バブル末期、その頃芽生え始めた古民家再生運動は古い建物に宿る時間や記憶の価値を見出し始めていました。粗大ゴミを再生したビンテージ家具に囲まれて暮らした京都での暮らしが、今の私の原点になっています。



リバティプリントが導いた布作家の道
イギリス移住後、初めて訪れたロンドンのLibertyで出会ったリバティプリント。タナローンのなめらかな手触りと、アール・ヌーヴォー調の繊細な柄に魅了され、長年にわたりコレクションを続けてきました。
その布を使ってバッグや服を制作するようになり、布雑貨作家としての活動が本格化。時代を超えて愛されるビンテージのリバティプリントは、今も私の宝物です。


ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツの精神
「役に立たないもの、美しいと思わないものを家に置いてはならない」
この言葉に象徴される思想は、モリスが中心となった**Arts and Crafts Movement**へと結実します。手仕事を尊び、時間をかけて本当に好きな空間をつくる。
イギリスの義母はモリスの壁紙で部屋を飾り、モリスのカーテン生地でカーテンやランプを手作りしていました。義母の好きな「美しいもの」と「代々受け継がれた古いもの」であふれた英国コテージ・インテリアに感銘を受け、モリスの精神を実践する義理の母「Mrs .Alderson」のスタイルは、必然的に私のデザイン・モデルになりました。


小さなコテージとDIYインテリアの実践
30年前に購入した英国の田舎の小さなコテージ。
緑の丘を望むその家を、2020年のコロナ禍をきっかけに思い切ってリノベーションしました。限られた予算とゆっくり進む工事、予期せぬトラブルの連続。それでも、床材を選び、壁紙を貼り替え、古いものを生かしながら手を入れていく時間は、「自分にとっての居心地の良さとは何か」を問い続ける貴重な体験になりました。
DIYインテリアとは、自分らしい空間を自分の手で育てていくこと。
完璧ではなくてもいい。時間をかけて、好きなものを重ねていく暮らし。
このサイトでは、そんなイギリスのDIYインテリアの実践と、私自身の体験をお伝えしていきます。
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Mrs.A
